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zoom RSS 映画:ミツバチの羽音と地球の回転

<<   作成日時 : 2012/04/14 19:23   >>

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 映画館ではないですが、世田谷区で自主上映が行われたミツバチの羽音と地球の回転を見てきました。今でも各地で自主上映が行われていますので、公式サイトからスケジュールを確認してみてはどうでしょう?


●ストーリー(ネタバレあり)
 瀬戸内海に浮かぶ山口県の一周12kmという小さな島。高度成長期から人口の流出が起き、過疎化が進むその島の人口は500人程度。平均年齢74歳だ。その産業は漁業と無農薬のびわやみかんが主なもの。この小さく平和な島に転機が訪れたのは1982年。祝島の対岸の田ノ浦に中国電力が上関原子力発電所計画を発表したのだ。
 祝島がみかんの栽培が盛んなのは国策だった。しかし国はオレンジの輸入の自由化によってみかんの値段は暴落。中国電力は上関原子力発電所ができれば島にも電源三法交付金が入って豊かになると説明。
 しかし島民は美しい自然の崩壊、生態系の破壊などを危惧して、そのほとんどの人が建設に反対。中国電力の環境調査では環境破壊の心配はないと説明するが、島が主導で行った調査では、スギモクと言う海藻の固有種が発見された。海でありながら本州と四国にはさまれた瀬戸内海は、生物多様性のホットスポットと呼ばれるにいたった。
 ところが、原発反対運動は地元とは関係ない、全国から非難の声が上がった。人口の少ない島よりも地域の発展の方が重要だ。自分たちの地元を守りたいという島民は“わがまま”とさえ言われるようになった。さらに非難の声は、反対運動の活動家、個人への非難に代わり、そのひどさに活動を断念する者も現れた。
 取材に応じてくれた山戸さんは、一度本州で会社に勤めたが、脱サラして地域の農産物をインターネットで販売するサイトを立ち上げた。その傍ら、原発反対運動を行っている。反対デモの数は28年で1,000回を越す。
 中国電力は勝手に漁業保証金として5億円を島の口座に振り込んできた。本当に漁業に影響がないなら漁業保証金なんて払う必要はないはずだと、1円も手をつけず中国電力に返却することを決めた。反対運動もむなしく、県や国からは建設許可が出た。中国電力は埋め立て工事を行おうとブイを打とうとする。しかし祝島や本州から応援に駆けつけた漁民は、漁船で出港を阻止する。次第にその運動は大きくなり、カヤックも応援に駆けつける。中国電力は許可された期日にブイが打てなければ許可の効力が切れる。会場では中国電力と反対派が対立する。しかしその間、中国電力は別の港から船を出し、反対派がおとりの船にかまっている間にブイを打たれてしまった。山戸さんらはそのやり口に悔しがる。
 原子力発電所が稼働すれば周囲の海水よりも7度も高い排水が1秒間に190万トンも海に流されることになる。さらに取水口や排水口にフジツボや海藻がつかないように、周辺海域には大量の塩素がまかれる。さらに瀬戸内海は本州と四国に囲まれた海域であり、高い温度の排水や塩素が拡散しにくい。生態系に影響がでないはずがない。
 中国電力は原子力発電所の許可申請を出さずに、田ノ浦の護岸工事を開始。その工事が始まっただけで、漁業に影響が出始めていた。


 一方、スウェーデンではエネルギー政策に関して日本の20年先を進んでいると言われている。
 スウェーデンの議員の報酬は0。議員は国民のためを思って活動するボランティアなのだ。逆を言えば政治にお金がかからない。利権も少ないのだ。
 そんなスウェーデンでは原子力発電に頼らないエネルギー政策を打ち出している。さらに2020年までに、化石燃料を使って二酸化炭素を大量に排出する火力発電からも脱却し、持続可能エネルギーを目指している。
 暖房は個々で配備するのではなく、間伐材を使った薪などのバイオマス資源を使って発熱しそれを各家庭に配っている。地熱なども有効に利用している。スウェーデンの人たちは不思議がる。日本のように温泉が多く森林も多い国が、なぜその資源を使わずに毎年10兆円もかけて輸入した石油を燃やしてエネルギーを作っているのか。
 また、家畜の糞からディーゼルオイルを作り出す技術も一般化しており、家畜を飼っている農家は近隣住民からも資金を借りてその装置を導入。ディーゼルオイルを売って借りた資金を返済もしているのだ。彼らは、自分たちが使っている石油、その石油を買ったお金で石油戦争が起き、世界のどこかで人が死んでいくのを悲しんでいるのだ。
 スウェーデンには“環境法典”というのがあり、いくら再生可能エネルギーであっても、環境に影響を与える可能性があれば風力発電も建てられない。COP10で採択された“生物多様性条約”では、“遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分”とあり、人間によって有益な生物多様性の保護が決められたが、スウェーデンの“生物多様性”とは、すべての生物が貴重で尊いものだという考え方にそっている。

 スウェーデンの雑誌社・クラフト&カルチャー社はもともと持続可能社会に関する雑誌を販売する雑誌社だった。彼らは雑誌の内容だけでなく、会社自身も環境負荷のない運営をしなくてはいけないという理念の元、クリーンな電力を購入するようになった。さらに雑誌と別に、そのクリーンな電力の販売を始め、今やスウェーデンで3位の電力卸業者になってしまったのだ。そして電力を販売する会社でありながら、省エネ、節電のノウハウを販売するようになった。
 日本では電力の自由化が一部にしか適用されていないため、このようなことができないのだ。

 祝島の人々は言う。原発のおかげで島民の絆が深まったと。しかしそれ以上のものを失った。祝島の島民の力だけでは撤回させることはできない。1日でも延ばすのが役割。その間にエネルギーのこと、環境のこと、考えるきっかけになってくれればと祈っていた。



●感想、思ったこと(ネタバレあり)
 この映画が作られ始めたのは福島第一原子力発電所の事故が起こる前、2009年にさかのぼる。私たちが原書力発電所は危険だと思っていても、特に深く考えていなかった頃、祝島ではすでに20年以上も原子力発電所のことを考え、戦ってきた人たちがいる。感心のなかった自分がはずかしい。
 福島第一原発の事故の後、誠意のない対応、隠蔽や改ざんを行う東京電力に怒りを覚える人も多いと思うが、中国電力の許可申請を出さずに工事を行う強硬姿勢。以前は反対派も多かったが、歳をとって反対派がいなくなったこの時期に工事を強行する中国電力のやり口、これが電力会社、原発利権なのかと思うと腹立たしい。
 スウェーデンのやり方がそのまま日本で通用するとも思えないが、持続可能なエネルギー政策は今の技術があれば可能なんだなぁと思う映画でした。あとは制度。水俣病や原発事故など、悲惨な事故があると科学は悪者にされますが、やはり一番の悪者は制度を作り、改正していかない人間なんだなぁと思う。
 原子力発電所は高度成長期には立派に役目を果たしてくれたと思うし、原発がなければ日本もここまで発展してこなかったと思う。でも原発の役割は終わったと思う。原発の廃棄物の捨て場もないし、原発にしがみつくのは、一昔前の黒い煙と臭い排気ガスを出して走るディーゼル車や、1Lあたり3kmくらいしか走らない50年代のアメ車にいつまでも乗り続けているようなものではないでしょうか。




観て良かった度:●●●○○ 3点 最低1点、最高5点






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ミツバチの羽音と地球の回転
山口県田ノ浦で進んでいる上関原発建設に反対しながら日々の生活を送る祝島の人々や、2020年までに原発に依存しない社会を目指すスウェーデンの人々の取り組みを追いかけることで、日本人が今後進むべき一つの方向性を提示したドキュメンタリー。監督は『六ヶ所村ラプソディー』の鎌仲ひとみ。福島第一原発事故が起こったこのタイミングだからこそ余計に観るべき作品だ。 ...続きを見る
LOVE Cinemas 調布
2012/04/16 18:15
ミツバチの羽音と地球の回転
公式サイト。鎌仲ひとみ監督の原発建設に反対する瀬戸内海の山口県・祝島の島民の生活を中心にしたドキュメンタリー。ちなみにほとんど同じテーマを扱ったドキュメンタリー映画「 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2012/04/16 19:57
ミツバチの羽音と地球の回転(2011-020)
2/19からユーロスペースで公開されていたこの作品。 震災が起きても起きなくても3/11でユーロスペースでの上映は終了し 3/12からはオーディトリウム渋谷で公開予定でした。 ...続きを見る
単館系
2012/04/17 21:50
『ミツバチの羽音と地球の回転』をユーロスペース1で観て、まあ面白いやんふじき☆☆☆
五つ星評価で【☆☆☆もっと退屈するかと思ったけど、意外に面白かった。ちゃんと人間が撮れている事と、論点が明確だからだと思う】 ...続きを見る
ふじき78の死屍累々映画日記
2012/04/19 00:39

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
よしなさん今晩は、蜜蜂の羽音とあるのでちょいと覗いたら原発の問題ですか。どちらも自然環境問題ですね、蜜蜂は環境に最高に敏感で弱い昆虫ですから環境が変化すると祝島のみかんの花粉は受粉が出来なくなりますね。海は海水温が上がり生態系は滅茶苦茶ですねー。nanaの生まれは隠岐の島で、子供のころは井戸水にランプ、車は無し、電車も見たこと無し、船も櫓で近海漁業のみ、新聞は1週間に1度、夕方6時頃から2時間の電気でラジオを聴くのが最高の娯楽。、でも海も川の魚も豊富で松葉かに等食べ放題、公害の心配も自然破壊の問題も無かったのですが、就職が出来ないから島を離れてウン十年、現在の隠岐はコンクリートと農薬、洗剤とう本土と同じ環境に成り下がりました。祝島の方々はすごいです、応援しますぞ、人間の幸せは豊かな自然、安全な自然のなかで美味しい物を食べのんびり過ごすことでしょう。nanaは今ではもう、うーん残念だーと叫ぶ事しかできません、だから祝島よ頑張れともう一度言います。
nana
2012/04/15 22:45
nanaさん、こんばんは。
新聞や、電気、昔の離島はすごかったんですね〜。昔の暮らしに戻せと言うつもりは毛頭ありませんが、構成のためにも豊かな自然は残しておきたいですね。ましてや安全になるまで10万年以上必要なゴミなんて残したくないですよね。
よしな
2012/04/16 18:32
よしなさん今晩は、昔も今も離島は同じ場所ですから、自然環境はそのままに残し、厚生施設等日常生活関係が現代化されるのが理想ですかね。蜜蜂がトンでもない方向に向きごめんなさい。
nana
2012/04/16 21:54

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