「善き人のためのソナタ」見てきました。

 今回もいつもお世話になっているKさんの推薦で、善き人のためのソナタを見てきました。正直言うと眠くなりそうな予感がしたので、前の日はゆっくり眠って備えました。(笑)



●ストーリー(ネタバレあり)
 1984年の旧東ドイツ。当時の東ドイツは共産圏の中でもっとも経済的に発展していたと言われ、共産主義体制を確立すべく、その中枢を担っていたのは国家保安省(シュタージ)という組織。シュタージはナチス時代のゲシュタボにも匹敵する管理体制をとっていた。
 シュタージ局員のヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)は大学で講義をしていた。西への亡命を手助けした容疑で逮捕された男の尋問の内容をテープで流していた。48時間一睡もさせず尋問を繰り返す。「いくらなんでも非人道的です。」という学生に対して、48時間尋問を続け、泣き出す者はクロ。逆ギレするのはシロだと解説するヴィースラー。
 その講義を終えると、シュタージ文化部部長のグルビッツ(セバスチャン・コッホ)に劇場へと連れて行かれる。ヴィースラーはそこに来ていた劇作家・ドライマンを監視したいと言い、グルビッツはそこに来ていたヘンプフ大臣(トーマス・ティーメ)に「ドライマンは見かけほどクリーンではない。」と進言し、ドライマンの監視が決まる。
 ヴィースラーは、ドライマンの家に盗聴器をしかけ、反体制である証拠をみつけるため、24時間の完全監視を始める。
 ある日、ドライマンの誕生日会が行われた。そこにはドライマンと長年仕事をしてきた演出家のイェルスカも出席した。彼からの贈り物は、1冊の楽譜、「善き人のためのソナタ」だ。「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない。」という言葉と共に。
 ドライマンの家での人間味あふれる会話、ドライマンとその恋人の愛、美しい「善き人のためのソナタ」の音色。ドライマンを監視するヴィースラーは、それらを聴いているうちに、以前とは違う感情がこみ上げてきた。

 イェルスカは過激な演出をするという理由で、シュタージによって演出家としての活動を禁止されていた。落ち込んでいたイェルスカはある日、自殺をしてしまう。悲しみに暮れるドライマン。
 仕事仲間である以前に親友であるイェルスカを失ったドライマンは、西ドイツの雑誌にこの東ドイツの体制を投稿することを決める。西ドイツの記者たちは、まずドライマンの家が安全かどうかを調べることにする。
 ドライマンの家で甥を西に亡命するための嘘の計画を話す。ヴィースラーは彼らが通る予定の検問所に電話をかけるが、迷ったあげく「今回だけは見逃してやる。」と電話を置き、報告書には「報告すべきことは無し」とタイプする。

 監視がないと思ったドライマンらは東ドイツが自殺者を公表しなくなった理由など、記事をタイプする。タイプライターはいつも使っているタイプライターではなく、記者からもらった小型のタイプライターだ。記事が見つかっても特定できないようにするためと、隠すのが容易なようにだ。
 それを監視していたヴィースラーは、「建国40周年の劇をタイプ中」と報告書にタイプする。

 その記事は無事に西ドイツで発表された。ヴィースラーの上司のグルビッツはドライマンが執筆したと確信するが、ヴィースラーは不審な動きはなかったと報告する。しかし、ドライマンの恋人のクリスタ(マルティナ・ゲデック)は不法な薬を所持していた疑いで逮捕される。彼女は大臣とも関係を持っていたが、最近は約束をすっぽかすクリスタに痛い目をあわせるための大臣の計画だったのだ。
 「何でもするから見逃して欲しい」とグルビッツに懇願するクリスタに、西ドイツで発表された記事の執筆者を教えれば釈放すると約束する。その言葉にクリスタは、ドライマンが別のタイプライターを持っていることを供述してしまう。
 すぐさまドライマンの家に家宅捜査が入る。しかしタイプライターは見つからない。尋問のプロであるヴィースラーがその尋問に呼ばれ、またもクリスタは隠し場所を吐いてしまう。
 またも家宅捜査がはじまったが、隠し場所には何もなかった。ヴィースラーが先回りして、隠し場所を変えたのだ。
 クリスタは愛するドライマンを裏切ったことを後悔し、家の外に飛び出すが、トラックにはねられ死んでしまう。
 何の収穫も得られなかったグルビッツはヴィースラーを手紙の開封係に降格させた。

 そして5年後、ベルリンの壁は崩壊した。
 さらに数年後、劇場で偶然会ったドライマンとグルビッツ。「何であの時、俺は監視されていなかったんだ?」と尋ねるドライマンに「監視していたさ。完全監視だった。」と答えるグルビッツ。監視されていたのになぜ逮捕されなかったのか不思議に思ったドライマンは、シュタージの資料館で監視の記録を閲覧した。ドライマンにとって不利な会話の記録はすべて虚偽の報告がタイプされていた報告書だった。署名は「HGW XX/7」。彼は今、広告を配る作業をしていた。声をかけようとするがそれができないドライマン。
 そして彼は1冊の本を書いた。「善き人のためのソナタ」。その本には「HGW XX/7へ。感謝を込めてこの本を捧げる」と記されていた。



●感想、思ったこと
 2007年アカデミー外国語映画賞やドイツ映画賞7部門の賞を受賞するなどのこの作品は、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクの初の長編映画作品。デビュー作なんです!
 実はノンフィクションではなく、フィクション映画だそうです。東ドイツの独裁体制はもっと厳しい者であったし、人間らしく変化するようなシュタージなどいなかったと言われているそうです。しかし、ドイツの公的機関である「連邦政治教育センター」は歴史的事実とは異なる部分もあるが、当時の監視組織が振りかざしていた権力と、内部の倫理的な葛藤を実によく描いている」として授業で使うことを推薦しているそうです。
 エンターテイメントとしてもこのように賞を受賞するほどの作品ですが、フィクションでありながらも教育的にもすばらしい作品というお墨付きをもらっている作品だそうです。
 監督自身は西ドイツ出身であるものの、キャストやスタッフには多くの東ドイツ出身者を起用。特にヴィースラーを演じるウルリッヒ・ミューエは自分自身ヴィースラーに監視されていたという過去を持っているそうです。監督も4年間を費やして当時の東ドイツを調べ、もとシュタージ局員やその被害者などにも会って話をしたという徹底ぶり。フィクションではあるけれども、当時の雰囲気は空気は本物と言われているそうです。

 と、各方面では大絶賛の本作品ですが、僕自身は3点(5点満点中)でした。一番は、ヴィースラーが何に心動かされたのかぼやけていてよくわからなかったことです。静かな映画なのに、先の読めない展開はハラハラさせられたし、ウルリッヒ・ミューエの表情の変化はとてもすばらしいのですが、本作で一番大事な人間らしく変化するその要因がわからなかった僕にとっては、ちょっとね。。。やっぱり自分に人間味がないからでしょうか。

 もう1つ気になるのは、冒頭の授業で「非人道的」と発言して、名前にチェックをつけられた彼は、その後監視されていたのかなぁ?どうなったのか気になります。

 日本にいると、ドイツがたかだか十数年前までこんな国だったなんて信じられないです。当時子供の私としては、ベルリンの壁が壊れたというのがどれほどすごいのかもわからなかったですし。今でも、こんなふうに監視されている国がきっとあるんでしょうね。考えてみたらうちの会社がそうかも。メールは監視され、インストールされているソフトは監視され、見ているホームページは監視され。。。デジタル化って監視しやすくする技術と言っても過言ではないかもしれませんね。


 話は変わりますが、友達が引っ越ししたとき、盗聴器発見器を試してみたことありますが、やはり無かったです。無かったのか、発見器が小型だからわからなかったのかわかりませんが、こわいですね~。




観て良かった度:●●●○○



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この記事へのコメント

K
2007年04月08日 14:50
ごめんなさい。イマイチでしたか。
私は、ラストの"Das ist fur Mich"というセリフだけで、この映画の素晴らしさを感じたんですが。
映画を観たあと、現在ポツダムに住む友人が教えてくれたんですが、友人の知り合いもスパイを強要されたことがあるらしいです。「スパイを断るとあなたのお母さんが1週間以内に交通事故に遭って、犯人は永久につかまらないだろう」って言われたらしいです。怖いですね(これ、もう話したっけ?)。
それから、この映画はアカデミー賞外国語映画賞取りましたが、監督はアカデミー賞の当日、日本人の友人からもらったお守りを身につけていて、受賞できたのはお守りのおかげだとドイツのテレビでコメントしたらしいです。日本のお守りがこんなところで役に立って嬉しいですね。
これがイマイチでも『ブラックブック』はもっと娯楽性が高いので、是非観てみてください!
2007年04月08日 16:00
Kさん、こんにちは。
レス早!

> これ、もう話したっけ?
はい。伺いました。(笑)

へぇ~。お守りのエピソードは面白いですね。

ブラックブックも見に行く予定ですよ~。

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