映画：シャッターアイランド

もう終わってしまった映画館も多いですが、本格的ミステリーがおもしろそうなシャッター アイランドを観てきました。

●ストーリー（ネタバレあり）

　ボストン沖に浮かぶ孤島・シャッターアイランド。そこは、精神を患った犯罪者を収容するアッシュクリフ病院がある。1954年9月、この病院に収容されている患者・レイチェル・ソランド（エミリー・モーティマー）が、鍵のかかった収容所から煙のごとく消えたのだ。３人の我が子を溺死させた容疑で逮捕され、精神を病んでいると診断された彼女はこの病院に収容された。警備員らはそのレイチェルを捜索するが島内には見当たらず、島外へ脱出した形跡も見当たらない。
　謎の失踪事件を解明するため連邦保安官のテディ・ダニエルズ（レオナルド・ディカプリオ）と、新しい相棒のチャック・オール（マーク・ラファロ）がやって来た。
　テディはコーリー院長（ベン・キングズレー）に病院を案内される。この病院には３つの棟があり、Ａ棟は男性患者、Ｂ棟は女性患者、そしてＣ棟には危険な犯罪者が収容されている。テディとチャックはレイチェルが収容されていた部屋を調べる。すると１枚の紙切れが出てきた。そこには「４つの法則」「67人目はだれか？」と書かれていた。この収容所にいる患者は66人。67人目とは誰なのか。
　次にテディらは医者や警備員に話を聞く。レイチェルが消えたその夜、警備員はずっといたが誰も通らなかったと供述する。しかしテディの執拗な尋問で彼はトイレに行った数分間席を外したという。勤務時間中のトイレは規則違反にもかかわらず。
　テディは内部に脱走の協力者がいると判断し、コーリー院長から事情を聞く。そしてテディらと入れ替わりで休暇を取ったシーハン医師が事件に関与しているのではないかと感づく。そこでテディとチャックはシーハン医師とレイチェルとの関係を探ろうと患者にも話を聞くことに。その事情徴収の中でテディは「アンドルー・レディス（イライアス・コティーズ）を知らないか」と質問を繰り返す。
　今回の事件と関係ないレディスを執拗に聞き出そうとするテディにチャックはレディスが何ものなのかを聞く。するとテディは今回の事件の捜査に志願したのは別の目的があることを語る。最愛の妻ドロレス（ミシェル・ウィリアムズ）をアパートの火災でなくしたテディ。その放火犯がレディスなのだ。そのレディスがこの病院に収容されていることを知り、ここに来るチャンスを待っていたのだ。
　ところが患者からの事情徴収ではレディスのこともレイチェルのことも聞き出せない。それどころかチャックの目を盗んだ患者から「逃げろ」と書いた紙を受け取るテディ。
　そこでテディらはこの島を捜索に向かう。しかし嵐が近づき病院に戻れなくなった２人は森の中の小屋で一晩過ごし、病院に戻る。するとレイチェルが見つかったと報告を受ける。早速テディはレイチェルと面会するが、錯乱状態にある彼女はテディのことを夫だと思い込んでしまう。
　患者の失踪事件は解決したものの、嵐で島から出られなくなったテディはレディスを探し続ける。嵐が原因で起こった停電に乗じてテディとチャックはＣ棟に向かいレディスを探すが見つけられない。
　テディらはもう一度島中を探す始め、島の外れに灯台を見つけたテディはそこに何か隠されているのではないかと向かう。しかし、その途中でチャックを見失ってしまう。チャックが崖から落ちたのではないかと思ったテディは崖下へと向かうが、崖下にはチャックはおらず、その代わりに洞窟に隠れていた謎の女性（パトリシア・クラークソン）を発見する。テディは彼女が本物のレイチェルではないかと思う。その女性はテディに向かって「あなたはこの島を出られない。わかっているでしょう。」と告げる。この島に来てから体調の悪いテディ。「誰かにもらったものを口にしなかった？」言われてみれば院長にもらった頭痛薬、医師からもらったタバコ。それに何か仕込まれていたのか。そして灯台で行われているという人体実験の噂。
　もしかするとこの病院では人体実験が本当に行われており、それを調べに来た自分もその実験材料にされてしまうのではないか。テディは車を爆破させ、その混乱に乗じて灯台に潜入する。しかしそこには怪しい実験道具などはなく、院長がいた。
　院長の話では、テディは連邦保安官などではなく、この病院の患者の一人。３人の子どもを溺死させた妻を殺した罪でこの病院に入れられているのだ。精神病患者は虐待のような仕打ちを与えたり、脳を開いたりというロボトミー手術という外科的治療が主流の中、この病院では精神病患者の話をきちんと聞くというある意味革新派の治療法を行っている。テディの主治医であるシーハン医師をチャックという監視役にし、自分が思い込んでいる連邦保安官にならせて自分でこの病院を調べれば納得して事実を受け入れられるだろうとコーリー院長らがテディを保安官にさせていたのだ。もしこれでもテディが事実を受け入れられなければテディも外科的手術をして脳を開かなければならない。コーリー院長とシーハン医師は半ば懇願するようにテディが事実を受け入れるように祈る。
　テディも自分でこの島を調べ、怪しい実験どころが道具すらない。そして妻が湖で自分の子どもを溺死させ、死んだ我が子をこの手に抱いた記憶が蘇る。テディは事実を受け入れたのだ。しかしその悲しい事実を受け入れて生きていく自信のないテディ。
　嵐も去った数日後、テディは連邦保安官であるようにふるまっていた。シーハン医師をチャックと呼び、そして「悪人のまま生きるか、善人で死ぬか。」そう言う。シーハン医師はコーリー院長に首を横に振る。すると保守派の外科医がテディに近づいていく。

●感想、思ったこと（ネタバレあり）

　目の錯覚を見せて“脳に騙されるな”と謳う予告編、はじまる前に表情や手の動き、目線などにも注目するようにと言うテロップなどなど、絶対にオチがわからないだろうという自身の表れなのだろうか。サスペンスとして期待が高まります。
　他の方の感想などを読むと67番目は誰なのかという紙が出てきた時点でわかっちゃったよと言う方も多いようですが、僕はわかりませんでした。だって、主人公が実は犯人である映画って昔から腐るほどあるじゃないですか。サスペンスとしてこれほど自信ありげな予告をしておいて、実は主人公のテディも患者でした、えへへへ～、なんて下らないオチなわけがないと思っていたからです。文字通り、“脳に騙されて”しまいました。完全に悪い意味で期待を裏切られた作品です。
　ただ映像としてはセピアトーンの映像がとても雰囲気出ていますし、表情にも注目してねと言うテロップの通り、主人公レオナルド・ディカプリオをはじめとして、周りのベテラン俳優陣すべてがすばらしい演技だったと思います。そう言う意味ではキャストもマーティン・スコセッシ監督もすごいです。が、やっぱりオチがちょっとねぇ～。テディが患者だったというオチも期待はずれですし、事実を受け入れたのに死を選ぶ悲しさも納得いかないです。期待していただけに残念な映画でした。

　ちなみにシャッターアイランドってどういう意味なのかなぁ？と思ったら、アナグラムらしく文字を入れ替えると“TRUTHS AND LIES”（真実と嘘）になるそうです。

観て良かった度：●●○○○ ２点　最低１点、最高５点

• シャッター アイランド公式サイト
  
• シャッター アイランド(Blu-ray版はこちら。)(2010/09/10発売予定)
  
• シャッターアイランド文庫
  
• シャッター アイランド オリジナル・サウンドトラックCD
  
• デニス・ルヘイン(原作)
  
• マーティン・スコセッシ(監督)
  
• レオナルド・ディカプリオ(テディ・ダニエルズ 役)
  
• マーク・ラファロ(チャック・オール 役)
  
• ベン・キングズレー(ジョン・コーリー院長 役)
  
• ミシェル・ウィリアムズ(ドロレス・シャナル 役)
  
• マックス・フォン・シドー(ジェレマイアー・ネーリング医師 役)
  
• パトリシア・クラークソン(真実を知る謎の女性 役)
  
• エミリー・モーティマー(レイチェル・ソランド 役)
  
• ジャッキー・アール・ヘイリー(ジョージ・ノイス 役)
  
• イライアス・コティーズ(アンドルー・レディス 役)
  
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