映画:洋菓子店コアンドル



 パスしようと思っていたんですが、ツイッターを見ていると意外に評判がいいので見に行くことに。と言うわけで、洋菓子店コアンドルを観てきました。



●ストーリー(ネタバレあり)
 鹿児島から出てきた臼場なつめ(蒼井優)は洋菓子のガイドブック片手に東京世田谷にある洋菓子店コアンドルを訪ねる。「あの~、海くんいますかぁ~?」と鹿児島なまり丸出しでその店のジュリアン(ネイサン・バーグ)に訪ねる。ジュリアンは店の中に戻り、妻であり、この店のオーナー兼シェフの依子(戸田恵子)に「あの子、何か訪ねてきてるんだけど、日本語がわからない。」と言う。厨房から出てきた依子が訪ねると、以前ここで働いていた海(尾上寛之)を訪ねてきたようだった。しかし海はすでにやめており、今ではどこに言ったかもわからないと言われ、落ち込んでしまう。
 行き先を失ったなつめは、スタッフ募集の張り紙を見て、ここで働かせて欲しいと言う。地元では父親がケーキ屋を営んでおり、子どもの頃から手伝っていたなつめは自慢のケーキを作り始める。
 依子の知人で、今は洋菓子の専門学校で講師の仕事をしながらガイドブックなどを書いている十村(江口洋介)や依子、ウィルソン、そしてここで働いているマリコ(江口のりこ)がそのケーキを試食する。
 一口食べたみんなは何も言わずに自分の仕事に戻る。なつめは十村に「私のケーキのどこがいけないんですか?」と詰め寄るが、「まず、仕事が遅い。スポンジが・・・」と止まらない。落ち込んだ徳子に依子は「これを食べたら帰りなさい。」とケーキを差し出す。今まで味わったことのないおいしさがなつめの口に拡がる。感動したなつめは、どうしてもここで働きたいと依子に懇願し、依子はあまりの真剣さに見習いとして雇うことにする。そして泊まる所もないなつめはこの店の事務所に寝泊まりさせてもらうことになる。
 しかし失敗の連続。マドレーヌの鉄板にバターを塗るのを忘れて鉄板からはがれない。先輩のマリコは、ここでは失敗したケーキは失敗した人が食べることになってるの。あんた、一週間はこれ食べなよね。と怒られる。
 失敗の連続でも、依子や常連の芳川(加賀まりこ)に支えられながら一生懸命に働くなつめ。そんななつめは、時折顔を出す十村がシェフ姿で依子らと写っている写真を見つける。十村はかつて伝説のパティシエと呼ばれていたのだ。
 今日もなつめは失敗をし、マリコとケンカする。「海君もそうやっていじめて追い出したんでしょ。」「あいつはすぐに投げ出して店を出て行った。ルミエールだってもうやめてるでしょう。」「海くんの新しいお店知ってたんですか?!」。ケンカした拍子に海くんの居場所を突き止めたなつめは、白衣のまま店を飛び出し、海くんの新しいお店に向かう。
 「なんでなつめがコアンドルの白衣きちょるんか。」という海くん。海くん的にはもうなつめと別れたつもりでいたのに、なつめはそんな風に思っておらず心配で東京まで出てきたのだった。パリに修行に行きたいという海くんになつめは「海くんには、無理。」と笑う。「やってみなくちゃわからない。」と反論する海くんになつめは「海くんのことは私が一番わかっている。頑張って、失敗させたくない。」というなつめ。「そう言う所が昔からイヤだった。」と怒る海くんに、「大丈夫?」と話しかける女性が現れた。海くんにはすでに新しい彼女が出来ていたのだ。酒を飲んで荒れるなつめだが、そんななつめを依子はしっかり受け止めてくれた。
 海くんと別れたなつめは仕事に集中する。一生懸命になるあまり、勝手に店の食材を使って、依子からは使った食材費は給料から差し引いとくからねと言われる。そんななつめはオリジナルのスイーツ“カシス・フロマージュ”を作る。まだまだ未完成のそのカシス・フロマージュを依子は芳川さんに出す。芳川さんからは「もっと頑張らなくちゃね。」と言われ落ち込むなつめだが、そのカシス・フロマージュを十村にも出すという依子。案の定、十村はそのケーキはダメだという。「何でダメなんですかぁ。食べさせたんだから聞く権利がある。」とつっかかるなつめ。「食べさせたなんて言うパティシエ、世界中探してもお前だけだ。このケーキは0点だ。」という。怒ったなつめは「人のケーキを食べて批評して。楽しいですか?」と、パティシエをやめた十村を批判する。十村は「自分にケーキを作る意味がない。」と答え、去っていく。
 なつめは「十村さんって、なんで伝説なんですかぁ?」と尋ねる。「彼が作ったケーキは、人を幸せにするからよ。」と聞かされる。十村の最後の仕事はパーティーで出すケーキだった。しかし依頼主の発注ミスで、パーティーに出すケーキの個数が足りなかった。十村は娘・由実(山口朋華)の幼稚園に迎えに行く約束になっているにもかかわらず、今から足りないケーキを作ろうという。なんとかパーティーに間に合ったものの、お迎えの時間には間に合わなかった。パパが迎えに来てくれるのを楽しみに待っていた由実は、幼稚園のバスから一人、パパのいるケーキ屋に向かって歩いていた。「パパ~!」由実はパパに向かって通りを渡ろうとした瞬間、十村の前をトラックが横切る。トラックが視界から消えるとそこには由実の姿はなく、帽子と鞄だけが取り残されていたのだ。ケーキの作り方を教えてあげると約束していた十村は、永久に娘にケーキ作りを教えてあげられなくなった十村はケーキを作ることが出来なくなってしまったのだ。

 ある日、依子は晩餐会でのデザート作りの仕事をもらう。しかしその帰り、突然のめまいで階段から落ちた依子は骨折してしまい、デザート作りはもちろん、店の仕事も出来なくなる。依子は一度店を閉める決意をする。
 そんな時コアンドルに電話が入る。ジュリアンはなつめに袋を持たせ、これをあるマンションに届けるように言う。その届け先は芳川さんの家だった。夫(鈴木瑞穂)が電話で頼んだのだ。芳川は医者に甘いものを控えるように言われていたにもかかわらず夫の目を盗んでコアンドルに通っていたのだ。そんな芳川も今はベッドから起きられないくらい様態が悪化し、食欲もなくなっていた。夫が何が食べたいかと尋ねると、なつめが作ったケーキだという。芳川はなつめに会おうとはしなかったが、そのケーキを食べて「おいしぃねぇ。」と言う声がベッドから聞こえてきて、なつめはケーキはただの食べ物ではなく、人を幸せにすることができるものだと実感する。
 マリコには有名なレストランからの声がかかるが、行き場を失ったなつめは、そんなことで店をつぶしたくないと、晩餐会のデザートを十村に作って欲しいと頼みに行く。最初は断る十村だが、あまりの一生懸命さに心打たれた十村は、晩餐会のデザートを作る決意をする。そこに風邪をひいたマリコ、ジュリアンも加わり、依子もアドバイスをしながら晩餐会のデザート作りを行う。十村は「晩餐会には子どもも来るのか。むつかしいな。」と呟く。
 晩餐会当日。「私って、娘さんに似てますかぁ?」と尋ねるなつめ。「全然似てない。由美は誰からも愛される子だった。」と皮肉を言う。じゃあ、なぜ手伝ってくれることにしたのかと尋ねると、十村も鹿児島出身だったからだった。
 十村はなつめに「お前、パリで修行してこい。知人に頼んで向こうの研究所に入れるようにしてもらったから。」というなつめ。しかしなつめは十村に交換条件を出していた。
 そんな会話をしていると、いよいよデザートの時間になっていた。「最後にお客さんを幸せな顔にするのは俺たちだ。」と十村やなつめは会場に向かっていく。
 十村の思った通り、大人達の会話に飽きてつまらなそうにしている女の子がいた。しかし十村らがデザートのアルコールに火をつけると、青い炎があがる。「きれ~。」と目を輝かす女の子。そして今宵十村が準備したデザート・“ガレット・デ
・ロワ”の中には、陶器の人形・フェーブが入っていた。そのフェーブを引いた人には1年の間幸運がもたらされるという。女の子がデザートにナイフを入れると、そこにはフェーブが。喜ぶ女の子。つまらなそうな顔から笑顔に変わる。まさしく十村のデザートは人を幸せにするものだった。
 そして十村はなつめとの交換条件を果たしに向かう。それはあの事故以来疎遠になっていた妻に会いに行くことだった。その様子を見届けたなつめはパリへと旅立っていく。



●感想、思ったこと(ネタバレあり)
 最初、主人公・なつめがめちゃくちゃイヤな奴で・・・。こんな映画、感動するのか?と思いながら見ていました。自分の価値観がすべてで、相手の能力を決めつけ、海くんはなんでこんな人とつきあっていたんだろう?って思えます。一生懸命な姿が共感できるわけでもなく。
 そしてなつめだけでなく、マリコも結構イヤな奴で、口数少なくて・・・。パティシエとして優秀だとしてもお客の前に出ちゃ行けないタイプです。
 確かに音楽はすごくすてきで、今公式サイトにかかっている音楽をBGM代わりに聞いているんですが、とても穏やかになれる音楽です。
 しかし、いつの間にか映画の中に引き込まれていくんですよね。
 「子どもがいるのか。むつかしいな。」という一言でその後の展開はすべて見えてしまいますが、晩餐会の女の子が笑顔に変わった瞬間に見ている観客からも笑顔がこぼれます。
 イヤな役柄を見事に演じた蒼井優はすばらしい俳優ですし、すばらしい作品に仕上がっていたと思います。いい作品でしたね。

 ちなみに、なつめは羽田空港を降りてモノレールで浜松町へ。山手線に乗り換えて地下鉄日比谷線で中目黒へと向かっていました。が、さっき検索したらモノレールを使うよりも京浜急行で品川まで出てそこから山手線、日比谷線の方が早いみたいです。値段は品川から渋谷経由で東急東横線が安いみたいです。でもコアンドルの住所からすると中目黒ではないようです(笑)。





観て良かった度:●●●●○ 4点 最低1点、最高5点






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