映画:メアリー&マックス



 どんな映画か全然知らなかったんですが、ツイッターやネットでの評判がすこぶるいいので観に行くことに。と言うわけで今回の記事はメアリー&マックスです。



●ストーリー(ネタバレあり)
 オーストラリアのメルボルンに住む8歳の少女メアリー(声:ベサニー・ウィットモア)。彼女の父親はティーバッグの工場に勤め、鳥の剥製を作るのが趣味のノエル。母親はシェリー酒中毒で万引きに夢中なベアラの3人家族。そしてメアリーは濁った水たまりのような目の色をし、黒縁のめがねをかけている。頬にはそばかす、額にはウンチ色のあざがあり、チョコレートとコンデンスミルクが好物。自分に自信のない彼女は友達もいない。
 メアリーは祖父から赤ちゃんはビールジョッキのグラスの底から産まれると聞かされていて、アメリカではどうなんだろう?と疑問に思う。そんな時、アメリカに住む誰かに手紙を送ろうと思い立つ。彼女は電話帳の中から風変わりな名前のマックス・ジェリー・ホロウィッツ(声:フィリップ・シーモア・ホフマン)を選び出し、彼に手紙を出してみることに。
 ある日、アメリカ、ニューヨークで暮らす44歳のマックスのところにオーストラリアから手紙が届く。彼は極端に人付き合いが苦手で社会になじめない肥満体の中年男だった。そんなマックスは見知らぬ人からの手紙を受け取る。手紙の中にはメアリーの自画像、オーストラリアでは赤ちゃんはビールジョッキの底から産まれてくるけれど、アメリカではコーラの瓶のそこからですか?と言ったたわいもない質問や自分のことがつづられていた。
 いわゆる自閉症のマックスは見ず知らずの少女からの手紙に困惑するものの返事を書いてみることに。メアリーの質問の答え、自分のことなどを。自分には友達はおらず、マックスの部屋の片隅にいつもいる目に見えない友人・Mr.アルフォンソ・ラビオリが唯一の友達であること。ヘンリーという金魚を買っていること、時々隣のアイヴィーがスープを作りに来てくれることなどを綴った。
 手紙の返事を心待ちにしていたメアリーだがいつになっても返事が来ない。半ばあきらめかけていた矢先、ベアラがゴミを出そうとして転び、その拍子にゴミ箱からホロウィッツからの手紙が転がってきた。メアリーよりも先に手紙を読んでしまったベアラはその手紙をメアリーには手渡さずに捨ててしまったのだ。ひょんなことから手紙を手に入れたメアリーは喜ぶ。
 メアリーは母親がこの文通に反対であるため、お隣に住むレン・グラハム・ヒスロップさんの住所に手紙を送るように頼んだ。彼は第二次世界大戦中にピラニアに足を喰われてしまって、それ以来外恐怖症なのだ。こうして36歳も年の離れた、またアメリカとオーストラリアという空間的にも離れた二人はペンパルとなる。
 メアリーはアルバイトを始めて貯金をし始める。見たことのない友人に会うためにアメリカに行くためのお金だ。
 メアリーはあざが原因でいじめられたりして涙を流したことをマックスに告白する。自閉症で人の感情を読むことも、自分の感情も表現できない彼は自分は涙を流したことがないと告白する。それを読んだメアリーは自分の涙を溜めてマックスに贈る。
 しかしマックスからの返信が突然来なくなってしまう。自閉症の彼はエアコンの室外機が落下して通行人が死んでしまい、留置所に入れられていたのだ。メアリーはマックスからの手紙が来ないことに悲しんだものの、やがて彼のことを忘れてしまう。貯めたお金は子どものころからのコンプレックスであったうんち色のあざを消すための手術に使ってしまう。あざの消えたことに喜ぶメアリーだったが、大事な友人のために貯めていたお金を使ってしまい、自己嫌悪に陥ってしまう。
 そんな時、再びマックスからの手紙が届く。彼女は貯めていたお金を使ってしまった負い目を感じ、医者になって自閉症を治すための方法を研究することを決意する。
 大人になったメアリー(声:トニ・コレット)は、マックスを症例として研究論文を発表する。その論文はその世界だけでなく、広く一般にも受け入れられ、本として出版されることになる。一方、子どものころからあこがれであったお隣に住むダミアン・キリル・ポポドポラス(エリック・バナ)と結婚することになる。彼もまたペンパルがおり、メアリーのペンパルであるマックスにも理解を示していた。
 その頃、マックスも転記を迎えていた。宝くじに当たって、好きなチョコレートを買い込んだり、好きなアニメのフィギュアを買い込んだりしていた。
 一方、メアリーは自分の本が出版されたことに喜び、その本をマックスにも贈る。しかしマックスは自分がさらし者にされたことにひどく激怒し、タイプライターでその心情を綴った。しかしひどく興奮してうまく表現できない彼はタイプライターを壊し、その部品をメアリーに送りつけた。
 それを受け取ったメアリーはひどく自己嫌悪に陥って、自分の本の出版を取りやめる。しかし壊れてしまった友情を取り戻せるわけでもなく、日に日に弱っていく。さらに追い打ちをかけたのがダミアンが別の女性を駆け落ちをして出て行ってしまったのだ。
 ひとりぼっちになってしまったメアリーは、自暴自棄な日々を暮らすが、謝るためにニューヨークへ向かうことにする。
 メアリーがマックスの部屋についた時には、マックスは椅子に座って息を引き取ったあとだった。謝ることもできなかったメアリーだが、ふと天上を見上げると、8歳のころから送った手紙がすべて貼ってあったのが目に入る。謝ることはできなかったがマックスは自分を許してくれ、幸せな気持ちで旅だったことを悟り、そして生涯唯一のシンの友達だったことを理解し、晴れやかな気持ちになる。



●感想、思ったこと(ネタバレあり)
 自閉症と男性と少女の物語。ネットではすこぶる評判がいいので期待していたのですが、おもしろい、おもしろくないを判断する以前に、字幕を読むのが疲れました。個人的には、早口で字幕の多いと評判だったソーシャル・ネットワークよりもつらかった。
 内容は、暗い。。。クレイアニメということでもっと明るいお話しかと個人的には思っていたのですが、暗いです。そして単調に進んでいくので正直90分がかなり長く感じてしまいました。マックスとの文通を通して、彼を、自閉症を治したいと思っていた彼女が、実は一番マックスの気持ちを理解していなかったことに気がつく彼女。つらいです。もうこれは見て良かった度1点かなぁと思っていたのですが、ラストはちょっと感動しました。そうか、この辛さはラストのこのためだけにあったのかと。暗い感じで進んできた物語も、最後救われた感じがしました。
 ところで“追伸”は“PostScript”略して“PS”と言いますが、メアリーは2つ目以降の追伸は“PPS”、“PPPS”と言いました。マックスは“PSS”、“PSSS”と言っていました。オーストラリア英語とアメリカ英語では違うんですかね?

 そうそう、本編の始まる前に、何度も日本を訪れたことのあるというアダム・エリオットからのメッセージが。以下、引用です。

“Japan and its people have been such a warm and generous friend to me over the years.
And like a friend, when they are hurt, sad and uncertain, my heart aches and I cannot sleep,
eat or function properly. This is how I am feeling now.
I have very little to offer, other than my words and my films. I hope your hearts will heal and
the years that follow will bring relief from the pain and sorrow. Nature has been cruel,
but hopefully now, the people of Japan will be allowed the time for restoration,
rejuvenation and quiet universal mourning for those souls who have left us”

Adam Elliot.
March 24th 2011


日本と日本の皆さんは、もう何年もの間、温かくてかけがえのない僕の友だちです。
そして友だちが傷ついたり、悲しんだり、先が見えなかったりする時、
僕の心は痛み、夜も眠れず、ご飯も喉を通らなくなり、とても正常ではいられなくなります。

これが、今の僕の気持です。

僕が皆さんにご提供できるのは、言葉と映画以外にありません。
皆さんの心が癒え、時が、痛みや悲しみから皆さんを解き放ちますように。

自然は残酷です。
でも希望を持って、日本の皆さん達が復興と再生の時を迎えられ、
これまで私たちを残し、去っていったものたちへの静かな万物的哀悼の時間を過ごされるのだと信じています。


 とてもありがたい言葉ですが、今日本をダメにしているのは残酷な自然ではありません。人間は時として自然よりも残酷になれるということも忘れてはいけないと思います。


観て良かった度:●●○○○ 2点 最低1点、最高5点







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この記事へのコメント

まっつぁんこ
2011年05月17日 22:18
自然が残酷と思ったことないなあ。
あえて言うなら厳しいという語感。
人間視点から抜け出せてないですけど。
2011年05月18日 01:08
まっつぁんこさん、こんばんは。
確かに自然が残酷とは言わないですよね。キリスト教では神が恵を与えてくださるけど、日本では自然が恵を与えてくれる、自然を利用し、自然と共に生きてきた民族ですからね。
ぴんくプードル
2011年06月01日 14:12
はじめまして。
エリスリトールのページから興味をそそられて、ここにきてしまいました。鑑賞評価は低いのですが、批評やコメントからは見てみたい気持ちにさせられました。
2011年06月02日 04:09
ぴんくプードルさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
エリスリトールからここにたどり着くとは。。。(笑)ホームページもご覧いただいてありがとうございます。
鑑賞評価は、「見て良かった度」と言って映画を評価しているわけではありません。このブログは最初は映画の評価を書いていたのですが、同じ映画でも疲れている時とか、迷惑な人がいたりした時、前評判が高くて期待度が高すぎたりとかすると、評価に影響されてしまうじゃないですか。プロのライターならともかく、素人の僕が映画だけの評価は書けないと、いろんな意味を含めて、僕が、見てどのくらい良かったのかを日記代わりにつけているものです。ですからみんなが良いという映画でも、低かったりします。
実際この映画は、結構見た人の評価は高いですよ。評価だけでなく、コメントから見てみたいと思っていただけたみたいですので、嬉しく思います。ありがとうございました。

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