劇団四季:ヴェニスの商人




 今年に入ってから、劇団四季見に行く回数がめちゃくちゃ減ったなぁ。と言うことで今回はもう終わってしまいましたがヴェニスの商人の記事です。


●ストーリー(ネタバレあり)
 海の見えるヴェニスの広場に商人のアントーニオー(荒川務)が、友人のサレアリオー(青山裕次)、ソレイニオー(青葉剛)に、船荷を積んだ自分の船が世界中から戻ってくるのを待ちわびていることを話している。そこにやってきたのは腹心の友であるバサーニオー(田邊真也)たち。バサーニオーは借金で首も回らない。しかもベルモントに住む貴婦人に恋をしているのだ。心から愛しているばかりでなく、もし金持ちのポーシャ(野村玲子)と結婚できれば借金も肩代わりしてもらえる。バサーニオーはどうしてもポーシャの心を射止めたがっていたが、今は借金でベルモントに行くこともできない。
 そんな話を聞いたアントーニオーは親友のためになんとか金を工面したい所だが、自分の全財産は海の上。そこで高利貸しのシャイロック(平幹二朗)に借金を申し込む。ところがシャイロックはアントーニオーが嫌いだ。と言うのも、アントーニオーは今は金がないが、金がある時は低金利で金を貸している。それが原因でヴェニスの金利は低くなる一方。高利貸しのシャイロックにとっては敵だ。「ちょいとでも風向きが変わったら、長い年月積もり積もった恨みだ、たっぷりはらしてやるからな。」と陰口をたたく。一方、アントーニオーもシャイロックのことが嫌いだ。「おれは今後もお前を犬呼ばわりし、つばを吐きかけたり足蹴に書けたりもするかも知れない。だからもしか隙があるなら、友達に貸すと思わぬがいい。いいか、敵に貸すのだと思え。敵となれば、違約した時、大いばりでかたが取れるからな。」とつばを吐きかける。
 そこでシャイロックは期日までに金が返せなければ、アントーニオーのどこでも好きな所1ポンドの肉を切り取ってもよいという証文を作り、アントーニオーに3,000ダガット貸し付ける。

 一方、ポーシャの宮殿では、ポーシャは小間使いのネリサ(笠松はる)に愚痴をこぼす。と言うのは毎日のように求婚者が現れるのだ。父の遺言によりポーシャの肖像画が入った箱を金、銀、鉛の3つの箱から選び出せた者がポーシャとの婚姻を許されるのだ。そこに現れたのはモロッコ王(廣田高志)は「我を選ぶ者は、衆人の欲し求むるものを得るべし。」と書かれた金の箱を選ぶ。しかし中には「輝くもの、必ずしも金ならず。」と記された朽ち果てた髑髏が入っていた。モロッコ王はポーシャに別れを告げ、宮殿をあとにする。
 モロッコ王が帰ったあと、ネリサとポーシャは以前訪れた男性の話をする。その男性はバサーニオーだった。ポーシャは彼に一目で惹かれたのだ。

 シャイロットの家の前では召使いのランスロット(川島創)が「何しろあのユダヤ人、悪魔が人間に化けたみたいな野郎だ。」と主人・シャイロットの悪口を吐きながら、逃げだそうとしていた。そこに通りがかったのはバサーニオー。ランスロットはバサーニオーに奉公口を求め、バサーニオーはそれに応じる。次の奉公先が見つかったランスロットはシャイロックの家に戻り、暇をもらうように告げる。その時、居合わせたシャイロックの娘・ジェシカ(島原如未)はランスロットにアントーニオーの友人ロレンゾー(城全能成)への恋文を手渡す。
 それを受け取ったロレンゾーは今夜行われる仮面舞踏会を抜け出し、シャイロックの家にジェシカを迎えに行く。ジェシカはシャイロックの金庫から宝石を盗み出して、ロレンゾーの元へと向かう。

 シャイロックが家に戻ってくると、愛する娘・ジェシカが宝石と共に行方知らず。半狂乱になる。しかもアントーニオーの船はすべて難破したらしいと言う噂まで。貸した金は戻ってこない。愛する娘はキリスト教の男と駆け落ち。拭こうという吹こうが俺の肩にのしかかると怒りを隠せない。ところがシャイロックは「吉報だ、吉報だぞ。やつめ、いよいよとなって違約しやがったら、心臓をちょうだいしてやるぞ。」と鬱憤(うっぷん)をぶちまける。

 ベルモントへと旅だったバサーニオーはポーシャの宮殿にやってきた。一目で心奪われたバサーニオーが求婚にやってきたポーシャもネリサも喜ぶ。しかしもし彼が間違った箱を選んでしまったら・・・。ポーシャは箱選びを1日でも延期させようと躍起になるが、バサーニオーはすぐにでも選び、ポーシャを手に入れたいと考える。
 迷ったあげくバサーニオーは「我を選ぶ者は、己の持ち物すべてを手放しなげうたざるべからず。」と記された鉛の箱を選ぶ。中には「何時、うわべによりて選ばざるもの、かえりて恵あり。」と書かれたポーシャの肖像画が入っていた。バサーニオーもポーシャも喜び、熱いキスを交わす。
 しかし喜んでいたのは2人だけではなかった。ネリサとバサーニオーの付き添いのグラシャーノー(田島康成)も喜んでいた。もしバサーニオーとポーシャがうまくいけば、自分たちも結婚する約束をしていたのだ。「いつのまに?」と喜ぶポーシャ。隠して2組の結婚式が同時にあげられることになる。
 そこにやってきたのはジェシカとロレンゾー。彼らがバサーニーに手渡した手紙には、船を失い、借金を返せないまま期限を迎えたアントーニオーが死を決意していると書かれていた。
 夫の親友ならば私にとっても大事な方。ポーシャはバサーニオーに金を渡してヴェニスに戻るように言う。その時、決して他の人に渡してはならない、私のように思ってと指輪も一緒に手渡した。
 一方、バサーニオーとグラシャーノーが去ったあと、ポーシャは召使いに、ネリサと2人で僧院で黙想をすると告げ、屋敷をあとにする。

 ヴェニスの法廷では縄で縛られたアントーニオー、バサーニオー、グラシャーノー、その他多くの友人が傍聴しに来ていた。裁判長であるヴェニス公爵(田代隆秀)が、シャイロックに慈悲を求めるが、シャイロックは「証文どおりのかたをいただきとう存じます。」と一歩も譲らない。バサーニオーは借りた金の何倍を支払うと言うが、耳を貸さない。シャイロックは避難の目を浴びながらもナイフを研ぎ始める。
 困り果てた公爵はベラーリオー博士に最終判決をゆだねるという。しかし博士は急病のため来られなくなったと使いの者が手紙を公爵に差し出す。その手紙には若き法学博士を自分の代わりに推薦するというのだ。なんとそれは裁判官の格好をしたポーシャと、書記の格好をしたネリサだった。そんなこととは知らないバサーニオーとグラシャーノー。
 ポーシャは、シャイロックに元金と数倍の利子を受け取るように言うが、シャイロックは拒否。ポーシャは仕方なく「この商人の肉1ポンドはお前のものである。当法廷はそれを許す。」と宣言する。「公正この上なき裁判官様。」とシャイロックは喜ぶ一方、うなだれるアントーニオーやバサーニオーたち。
 しかし「待て、まだあとがある。この証文によれば、血は一滴も許されていないな。証文の通りにする通い。ただしその際、キリスト教との血を一滴でも流したなら、お前の土地も財産も国庫に没収する。」と続ける。形勢は完全に逆転。「ならば、元金だけでも。」というシャイロックに、ポーシャは「ならぬ。証文の通りにする通い。」と答える。
 肩を落として法廷をあとにするシャイロックに、さらにポーシャは追い打ちをかける。ヴェニスの国民の命を危険にさらした罪でお前を裁くと言うのだ。それに慈悲を求めたのはアントーニオーだった。彼はシャイロックをユダヤ教からキリスト教に改めること、全財産を娘・ジェシカ夫婦に渡すこと。その代わりに命は助けるというものだった。シャイロックは罵声を浴びせられながら法廷をあとにする。
 名判決ぶりに感動したバサーニオーは何か記念品を贈りたいという。裁判官に扮したポーシャはでは指輪をという。その指輪はポーシャに決して売ったり譲ったりせず、自分と同様に大事にして欲しいと言われているもので、バサーニオーは断る。しかし、アントーニオーにぜひ贈ってあげて欲しいと懇願され、バサーニオーは泣く泣く指輪を手渡す。おもしろいと思った書記に扮したネリサもグラシャーノーに指輪をくれるように言う。

 バサーニオーとグラシャーノーよりも急いで宮殿に帰ったポーシャたち。そして遅れて戻ったバサーニオーとグラシャーノー。親友、アントーニオーの命が救われたことを祝って楽隊が音楽を奏でる。しかし、ポーシャがバサーニオーに指輪のことを訪ねると、ポーシャは怒ったふりをする。ネリサもマネをして指輪を譲ったグラシャーノーを叱責する。
 しかしポーシャは指輪を返して、もう2度と譲ったりしないでくださいという。そしてあの裁判官と書記は自分たちであったことを打ち明ける。そしてネリサはジェシカに、シャイロックが全財産を譲ると記した証書を手渡し。さらに吉報が届く。アントーニオーの船が積み荷をたくさん載せてヴェニスに戻ってきたというのだ。夜明けまで一同は喜びの宴を続ける。

※括弧内は鑑賞日のキャストで、別の日は別のキャストが演じている場合もあります。




●感想、思ったこと(ネタバレあり)
 最初はシャイロックはDVDと同じように日下さんが演じるのかなぁ?と思っていたのでパスしようと思っていたんです。ところが!平幹二朗さんじゃないですか。日本を代表する舞台俳優で映画にも多数出演している平幹二朗さんが演じるならこれは見なくちゃ。正直言うと癖のあるしゃべり方の日下さんよりも役にあってると思う。あの演技の圧巻。めちゃ圧倒されちゃいました。すげぇ~よ、この人。ホント。いや~、これはいいストプレを見させていただいた。しかも前から4列目。ホントは最前列も空いてたんだけど、さすがに最前列だと舞台全体が見渡せないので…。
 ストーリーは、シャイロックは希にみる憎まれ者で、悪質な高利貸しが敗北する勧善懲悪喜劇なんですって。でも僕はシャイロックに同情してしまいました。

< 「ユダヤ人は目なし、手なし、臓腑なし、感覚・感情・情熱、すべて無し。何もかも
< キリスト教徒とは違うとでも言うのかな? 毒を飲まされても死なない、だからひどい
< 目にあわされても仕返しはするな、そうおっしゃるんですかい? だが、他の事があん
< た方キリスト教徒と同じなら、その点だって同じだろうぜ。キリスト教徒がユダヤ人
< にひどい目にあわされたら、御自慢の温情はなんと言いますかな? 仕返しと来る。
< それなら、ユダヤ人がキリスト教徒にひどい目にあわされたら、我々はあんた方を
< お手本に、やはり仕返しだ」
 当時の時代背景はわかりませんが、このシャイロックの言葉から察するに、ユダヤ人はキリスト教にも迫害をされていたと思われます。無宗教なので宗教のこともわかりませんが、裁判のところではキリスト教への改宗を言われます。これって死を宣告されるよりもつらいことなのでは?単なるユダヤ人差別のようにも見えて心が痛くなる内容でした。
 勧善懲悪、ユダヤ人差別、それに同情する味方もできるこの作品、ウィリアム・シェイクスピアの表現の豊かさなんでしょうね。

 最後は一人でスタンディングするの恥ずかしいので、隣の人を誘ってスタンディングです。いや~。楽しかった。


 劇は素敵だったのですが、最近自由劇場のスタッフの質が低下気味。入口の真ん前でたむろしている連中。あきらかに邪魔なのに注意しない。プログラムの売り場の前で立ち話をしているスタッフ。邪魔でプログラム買えない。買う気もそがれる。その他、いろいろ言いたいことあるのですが、もっと教育してほしい。





観て良かった度:●●●●● 5点 最低1点、最高5点




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    Excerpt: 主なキャスト(敬称略) シャイロック:平 幹二朗 アントーニオー:荒川 務 バサーニオー:田邊真也 ポーシャ:野村玲子 ネリサ:笠松はる ジェシカ:鳥原如未 ヴェニス公/テュバル:田.. Weblog: 首都クロム racked: 2011-07-03 09:27