映画:はやぶさ 遥かなる帰還



 3つの制作会社がそれぞれの視点と思いで惑星探査機・はやぶさを映画化しました。今回は東映が描いた作品はやぶさ 遥かなる帰還の記事です。
 3作品見たら、もうどのエピソードがその作品だったかすっかり混同してしまったので、ちゃんと記事に出来るか心配ですが。。。
 ちなみに2012年、劇場20本目ですね。


●ストーリー(ネタバレあり)
 2003年5月9日。鹿児島県内之浦観測所から飛び立った小惑星探査機“はやぶさ”。新聞記者の井上真理(夏川結衣)はこの“はやぶさ”を乗せたロケット・M-V(ミュー・ヴァイブ)の写真を撮っていた。無事に飛び立っていくはやぶさを見て安堵する真理だったが、遠くに見覚えのある男性の姿を見つける。しかし距離が離れており話しかけることは出来なかった。
 “はやぶさ”のミッションは遠く離れた小惑星・“1998SF36”(後に“イトカワ”と命名される。)に行き、太陽系の機嫌、地球をはじめとする惑星の起源を探る手掛かりとなる石や砂を持ち帰ること。それは人類史上初となる試みだった。
 同年12月には1998年に打ち上げた火星探査機“のぞみ”が推進系のトラブルが発生し、火星周回軌道への投入を断念する。JAXAにとって悲しい出来事であり、もうこれ以上失敗は許されない立場に追い詰められてしまう。
 地球を出発した“はやぶさ”が1年かけて目指した場所は、なんと地球。はやぶさに積まれたイオンエンジンは長い時間動かさなければならず、とても省エネなエンジンなのだ。その代わり出力も小さい。惑星イトカワに行くためにはエンジン以外の加速方法が必要なのだ。イトカワは地球の重力と公転速度を借りて方向転換とスピードを行う“地球スウィングバイ”を行うのだった。イオンエンジンを使ったスウィングバイは世界初のこと。失敗すれば地球の重力に捕まり墜落もしくはイトカワとは違う方向に行ってしまうからだ。
 見事にスウィングバイを成し遂げたはやぶさ。プロジェクトマネージャーの山口駿一郎教授(渡辺謙)を始め、全員がその快挙を喜んだ。もちろん真理もだった。
 真理ははやぶさのプロジェクトメンバーに取材を行うが、ちょうど山口に取材を行うとき、山口はそのアポをすっぽかして実家に帰っていった。親父の容体が思わしくないのだ。
 親父の体調不良。それはこれまで順調に航行してきた“はやぶさ”の不吉の始まりだった。イトカワまで1万kmまで迫ったときに4機あるイオンエンジンのうち1機が止まってしまったのだ。イオンエンジンの開発を行ってきた藤中仁志(江口洋介)とNECの森内安夫(吉岡秀隆)は心配そうになりながらも、もともと3機あればミッションは達成できる設計になっており、計画を実行することにする。とは言え、森内は4機のイオンエンジンに、自分、母親、子供たちの名前をつけていた。今回故障したのは自分の名前をつけていたエンジンだった。ちょうど長男が受験であり、受験勉強を一生懸命やっているのに、父ちゃんだけが止まってしまい、申し訳ないと内心落ち込んでいた森内だった。
 一方、真理は町工場を営む父・東出博(山崎努)と再開する。1人息子がいながら旦那と離婚した真理は父親とは疎遠になっていた。父親はこの不況で仕事が入らず、銀行マンだった元真理の旦那に融資をせがもうとしていたのだ。離婚したことも覚えていない父親にあきれかえる真理だったが、息子は工場の機械が気に入ってしまい、それをきっかけに真理と父親も頻繁に会うようになる。
 2005年11月。いよいよイトカワに着陸し、サンプルホーンから弾丸を発射してその振動で舞い上がった石や砂を回収するミッションを行うことに。“はやぶさ”は順調に高度を下げていくが、高度は0メートルを通り越し、マイナスに。イトカワの地表は岩石ではなく柔らかいのか?そんなはずはない。山口は緊急脱出を命令する。再び高度を上げた“はやぶさ”だが、サンプルを回収できた可能性は低い。もう一度行ってはやぶさ全損するよりは、わずかな可能性にかけて帰還するべきだという意見もあったが、山口は万全を期したいと、もう一度サンプル回収を行うことを決意する。
 今度は無事に高度0メートルで弾丸を発射。サンプルがうまく回収できたかのように思われた。しかし“はやぶさ”から送られてきたデータを解析すると、弾丸は発射されていなかった。サンプルを回収できた可能性は低いが、もうやり直しは出来ない。このまま帰還させるしかなかった。
 さらに悪いことは重なった。科学エンジンの燃料が漏れ出し、姿勢制御が出来なくなったのだ。山口はイオンエンジンからキセノンガスをそのまま噴射させることで状態を安定させようと言うが、森内が猛反対。しかしこれをやらなければ“はやぶさ”は姿勢制御が出来ずに宇宙の塵となってしまう。山口は生ガスを噴射させるよう命令し、やがて“はやぶさ”の状態は安定する。
 しかし姿勢を安定させるために時間がかかってしまい、今からでは地球帰還への軌道には乗れない。予定よりも3年遅れることになる。しかも悪いことは重なるもので、再び燃料が漏れ出し、通信途絶となってしまう。“はやぶさ”がどこにどんな状態でいるのかすらわからない。“はやぶさ”は制御されなくても力学的に姿勢が安定するように設計されてはいるとは言え、再び通信が出来るようになる可能性はかなり低かった。
 臼田観測所は“はやぶさ”に「返事をせよ。」という信号を送り続ける毎日。“はやぶさ”の状態が安定し、アンテナが地球を向き、バッテリが生きていれば返事が返ってくる。しかし状態によっては周波数が変わってしまうため、毎日毎日周波数を変えながら信号を出し、モニタを見る。NASAからはこれ以上NASAの施設を“はやぶさ”のために使用させることは出来ないと言われてしまう。山口は「協力をしていただけないのなら、サンプルを持ち帰ってもNASAには情報を出せない。」と強気だが、山口自身も本当に“はやぶさ”から返事が返ってくるかどうか自信を持てずにいた。
 信心深くない山口だが、今の自分に出来ることは祈ることだけ。神社を回ってお参りをする。そこで山口は東出に出会う。東出の町工場は以前からJAXAにロケットや探査機の部品を納品していたのだ。今回の“はやぶさ”の部品のいくつかは東出が作ったものだ。東出は山口に、必ず帰ってくるよと言い残して去っていく。
 そして“はやぶさ”行方不明から46日。とうとうノイズにまみれた“はやぶさ”からの信号が帰ってきた。臼田観測所から相模に伝えられ、プロジェクトメンバー一同は歓喜に包まれる。
 しかし今の“はやぶさ”は死んだも同然。バッテリはほとんど底をつき、姿勢制御装置はかろうじて動いている。燃料もわずか。そして地球基幹の要となるイオンエンジンは1機しか動かない。しかし1機では地球に帰還できない。正常な1機と、最初に壊れた1機を騙し騙し動かすことでなんとか地球へ帰還しようとする“はやぶさ”。
 ところが再びイオンエンジンが故障。山口はどうにかして動かせないかと藤中に問う。藤中はイオンエンジン4機のうち、生き残ったイオンエンジンと、別の中和機をクロス運転させることで動かすことが出来るという。しかし森内は反対する。もう数年待てば1機でも帰還軌道に乗れる。むちゃな運転してイオンエンジンが壊れればそれすらできなくなるという。そして唯一民間企業である森内には“はやぶさ”を帰還させることと同じくらい大事なミッションがあった。イオンエンジンを壊さないこと。イオンエンジンが壊れてミッションが失敗すれば、NECのイオンエンジンを買ってくれるところはなくなってしまうのだ。民間企業の森内にとってそれは絶対に避けなければならない。しかし山口はクロス運転を指示する。怒りと落胆にさいなまれた森内はJAXAを後にする。
 そしていよいよ“はやぶさ”がサンプルを地球に投下する日。真理は投下ポイントであるオーストラリアの真理やJAXA、そして世界中が見守るなか、“はやぶさ”がサンプルを投下。2つの光が空を走る。そのうち大きい1つは空中分解し燃え尽きる。“はやぶさ”の最期だった。
 真理はオーストラリアから父親に電話する。最後まで諦めなかったメンバー、そして“はやぶさ”。そんな彼らに支えられた真理と父親の心も1つになっていた。



●感想、思ったこと(ネタバレあり)
 冒頭でも書いたように“はやぶさ”3作品+で読んだ内容がごっちゃになっているので、純粋にこの映画の感想になっているか、正しい内容か自身がないですが、竹内結子主演のはやぶさ/HAYABUSAは、技術的な難題と、“はやぶさ”が擬人化され、“はやぶさ”の冒険的な描かれ方をしていて、まだレビューを書いていませんが藤原竜也主演のおかえり、はやぶさは“はやぶさ”に特化せず、JAXAの物語、そして本作はそれぞれの思いを胸に抱く技術者の物語であるように思えました。
 特に民間企業の技術者・森内は、“はやぶさ”プロジェクトにあたったばかりの時はただの技術者ですが、後半は彼も昇進をして別の仕事の課長になっている。今の仕事とイオンエンジンの仕事の掛け持ち、さらにボランティアでやっているわけではない民間企業はその成功を糧に宇宙産業にイオンエンジンを売り出して利益を稼ぎ出さなければならないという、JAXAとは違った目的をも持っている。だが、一方でJAXAのメンバーと同じように“はやぶさ”を帰還させたいという思い。難しい役所を吉岡秀隆が熱演。ただ僕的にはALWAYS 三丁目の夕日では良かった大げさな演じ方が、本作では鼻につきました。
 JAXAではないけれど日本の技術を持つ中小企業の町工場を演じた山崎努。こういう小さな町工場の人たちも日本の最先端を行く宇宙産業を支えているのだということを改めて実感させられ、いい着眼点だと思いました。ただ、山口教授との神社でのやりとりはちょっと微妙。とってつけた感が否めない気がします。
 他にも、はやぶさ/HAYABUSAにはなかった着眼点がたくさんあって良かったと思う反面、それらの描き方がどうも弱いというか中途半端。おもしろい作品ではあったものの、見て良かった度は5点はつけられず、ホントに惜しい感じだったと思います。





観て良かった度:●●●●○ 4点 最低1点、最高5点










この記事へのコメント

2012年05月27日 11:31
良しなさん、こんにちは!
トラバの返信が遅くなって失礼しました m(_ _;)m

たしかに3つ観ているとごちゃ混ぜになってしまいますね。
こちらのはやぶさ映画、町工場の親爺さんを出してきたのはいい着眼点ですよね!
「おかえり」ははやぶさの事が分かりやすいかったです。結構難しかったので私には有難かったです(笑)
そしてどちらもはやぶさの打ち上げシーンから始まって観客の♡をグット引き寄せましたね。あのときのはやぶさはカッコよかった!!
2012年05月29日 01:48
愛知女子さん、こんばんは。
町工場を出したのは確かにいいですね。東京や大阪の町工場の技術が宇宙に飛び出したり、世界的に有名な製品になったりしていますからね。映画の中の町工場は従業員がやめてほぼ営業していない状態になってしまいましたが、日本の町工場も元気になって欲しいですね。
宇宙とは関係ない世界ですが、僕も技術者としてちょっとだけ誇りに思いました。

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