映画:おかえり、はやぶさ



 3つの制作会社がそれぞれの視点と思いで惑星探査機・はやぶさを映画化し、今回は松竹が描いた作品、唯一3Dで作られたおかえり、はやぶさのレビュー記事です。ただし鑑賞は2Dで。


●ストーリー(ネタバレなし)
 2003年5月9日、小惑星探査機“はやぶさ”を載せたロケットM-V(ミュー・ヴァイブ)が、鹿児島県内之浦から打ち上げられた。“はやぶさ”のミッションは、当時はまだ名前もつけられていなかった小惑星“イトカワ”の砂や小石を持って帰るサンプルリターン。成功すれば世界初の快挙となる。
 “はやぶさ”が順調に飛行を続ける中、火星探査機“のぞみ”は度重なるトラブルの末、打ち上げから5年半、とうとうかせいの軌道に乗ることを諦めざるを得なくなってしまった。のぞみのプロジェクトマネージャーの大橋伊佐夫(三浦友和)は、人生の大半をかけてきたこのプロジェクトが失敗しただけでなく、世間から税金を無駄にしたと非難され、とうとうJAXAをやめることに。家では公演や原稿の依頼をすべて断り、日曜大工をして人との接触を拒むようになってしまった。“はやぶさ”のプロジェクトメンバーである息子の健人藤原竜也)は、そんな父親のことを心配していた。
 一方、“はやぶさ”のプロジェクトマネージャーである江本智彦(大杉漣)は、もう2度と失敗は許されない。万が一“はやぶさ”が失敗すれば、日本の宇宙開発は幕を閉じてしまうと言う。江本の言葉に、若きエンジニアの健人、野村奈緒子(杏)らも決意を新たにする。
 健人が家族同様につきあっている同僚の岩松大吾(田中直樹)の息子・風也(前田旺志郎)は、健人のことを兄のように慕っていた。いつもは元気な風也だが、彼にとっても“はやぶさ”は希望の星だった。風也は“はやぶさ”が成功すれば病弱な母親・多美(森口瑤子)の病気も良くなると信じていたのだ。
 健人、風也、そして世界中の期待を乗せて航行していた“はやぶさ”だが、イトカワまであと1万キロというところでイオンエンジンにトラブルが発生。4機あるエンジンのうち1機が故障し、さらに姿勢を安定させるリアクションホイールが故障し、姿勢を安定させることが出来ない。健人は周りからの反対を押し切ってイオンエンジンの中和装置から生ガスを噴射させることで姿勢を安定させることに成功した。
 ピンチを脱出したものの、自分だけを信じ、他の人の意見を聞かない健人のやり方をおもしろく思わない者も少なくなかった。特に工学系の健人と理学系の奈緒子との間は、仕事では信頼しあっていてもどことなく意見が合わないこともしばしば。
 2005年11月。とうとう“はやぶさ”はイトカワまで到達した。次は着地して地表面のサンプルを採取する。しかし着地に失敗。緊急脱出をして再度タッチダウンに挑戦。しかしタッチダウンには成功したものの、弾丸が発射されていないことが後からわかり、サンプルをうまく採取できたかはわからないまま、“はやぶさ”は地球に還ることになる。
 ところが燃料が凍ってしまい、別の部分から船外に燃料が噴出。言わば手を放した風船のように宇宙空間を漂ってしまうことに。しかも通信は途絶。プロジェクトは失敗に終わるのか…。メンバーも苛立ちを隠せず、健人のことをおもしろく思わない連中とケンカ沙汰になってしまう。それにあわせるかのように多美の容体も悪化してしまい、風也も苛立ちを隠せない。
 エンジニアが知恵を絞るが、通信すらできないのでは手の施しようがない。臼田観測所では毎日“はやぶさ”からの応答がないか、モニタを見続ける日々が続く。“はやぶさ”のバッテリはもう尽きている。ソーラー発電のパネルが太陽を向き、アンテナが地球を向かなくては通信が返ってこない。江本も「可能性はある。」と答えるものの、その可能性は限りなくゼロに近いことを知っていた。
 ところが46日目。ノイズに混じって小さな信号が。間違えなく“はやぶさ”からの信号だ。現在の“はやぶさ”の状況を問い合わせるプログラムを実行し、瀕死の中で一生懸命地球に電波を送っていることを知ったエンジニアたちは、バッテリーの充電が出来るように姿勢を安定させる。しかしイオンエンジンは3機が壊れ、残りの1機ではパワー不足で地球まで戻って来られない。壊れた1機を騙し騙し使うが、あと7ヶ月というところで、すべてのイオンエンジンが停止。そこで壊れていないイオンエンジンと壊れていない別の中和機をクロス運転することでなんとか地球までたどり着かせることができた。エンジニアたちのチームワークとアイデアで幾つもの困難を乗り切ったおかげだ。
 この奇跡は“はやぶさ”を応援する人たちにも拡がっていく。大橋伊佐夫は奈緒子から依頼されていた講演を引き受け、多美の手術も成功。そして2010年6月13日。ぼろぼろになって地球に戻ってきた“はやぶさ”は、カプセルを地球に投下し、自らは地球の大気圏で燃え尽きてしまう。



●感想、思ったこと(ネタバレあり)
 はやぶさ 遥かなる帰還の時にも書きましたが、さすがに同じテーマで3つ見てしまうと、どの場面がどの映画だったか混同してしまいますね。
 “はやぶさ”3作品の中でもこの映画は“はやぶさ”の映画と言うよりもJAXAの映画という感じがしました。技術的なことが多かったはやぶさ/HAYABUSA、ヒューマンドラマ野色が濃かったはやぶさ 遥かなる帰還に比べると、JAXAを描いたという以外にあまり特徴がなかったように思えます。
 やっぱり3番目というのは興行的につらいよね。普通1,300円(単館系だと1,500円)の前売り券は1,000円。金券ショップでは500円を切る値段で売っているところもあったそうな。ちなみに僕は980円で購入。3Dも微妙で、僕がよく行く映画館では2Dよりも3Dの方が先に上映終了してしまっていました。
 さすがに3作品見るのは映画好きか、“はやぶさ”好きか、ですよね。あまり興味ない人が見に行こうとするとやっぱり最初のを見ちゃうよね。
 ところで一番印象に残ったのは、やっぱりラスト。JAXA対外協力室長・増沢公孝(中村梅雀)がインタビュー形式で「2位じゃダメなんです。」って答えるシーン。もちろんスーパーコンピュータ開発の事業仕分けで蓮舫参議院議員が言った言葉「2位じゃダメなんでしょうか?」を意識してのことでしょう。この言葉、少々一人歩きしている感がありますが…。確か担当者は「1位以外はビリだ。」って答えたってネットで読みましたが、別に科学技術は順位を競っているわけではないんですよね。スーパーコンピュータの計算速度が速ければ速いほど、シミュレーション精度があがる。いろんな計算を一度に行える。ここまでできたら充分というのがない。だから上を目指す。結果として世界で1位になる。だから世界で2位を目指している技術者はいない。担当者はこう言うことを言いたかったのだと思います。スポーツは興味ないのでわかりませんが、テニスのように相手と戦う競技ではなく、マラソンや水泳のようにタイムを競う種目では相手よりも勝つことも、少しでも速くなりたいと練習をするのではないでしょうか。その達成の目安として世界1位がある。蓮舫さんにもお子さんがいらっしゃいますが、学校のテストや運動会で「2位を目指して頑張りなさい。」とは言わないでしょうに。
 話はそれてしまいましたが、まぁ、無難な作品だったなぁと言う感じ。





観て良かった度:●●●○○ 3点 最低1点、最高5点










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