映画:戦火の馬



 スティーヴン・スピルバーグ監督作品だし予告編もすばらしい。期待に胸をふくらませますが、それだけでなく試写会で見た人みんなが感動している。ただ期待しすぎると裏切られるのも常。期待しつつ期待を押さえるのが苦労した作品、戦火の馬の記事です。


●ストーリー(ネタバレあり)
 第一次世界大戦前夜のイギリスの農村で馬の競売が行われていた。農家のテッド・ナラコット(ピーター・ミュラン)は畑を耕すために馬を買いに出かけたが、1頭の競走馬に心を奪われ借金をしてその馬を買ってしまう。当然妻のローズ(エミリー・ワトソン)はこの馬を返して畑仕事に使える馬を飼ってくるように言うが、少年のアルバート(ジェレミー・アーヴァイン)はこの馬をとても気に入り、“ジョーイ”と名付ける。
 テッドはこの馬に畑を耕す馬具をつけて畑を耕さそうとするが言うことを聞かない。それどころか地主からはこのままでは家族そろって立ち退いてもらうしかないと言われてしまう。怒りのあまりテッドはジョーイを殺そうとするが、それをアルバートが阻止して畑を耕そうとする。周りの者から笑いものにされながらもアルバートとジョーイは一面の畑を耕すことに成功する。
 万事うまく言ったかのように思えたが、戦争が始まると英国軍の軍馬が集められ、ジョーイもそれに売られてしまった。アルバートはなんとかジョーイを取り戻そうとするが、ニコルズ大尉(トム・ヒドルストン)はジョーイが特別な馬であり大切にし、戦争が終われば必ずアルバートの元に連れて帰ることを約束した。
 ジョーイはイギリス軍馬としてフランスに連れて行かれるがそこで知り合った軍馬・トップソーンと知り合い、訓練を通してライバルであり良き友となる。
 しばらくしてアルバートの元に大尉の手帳が届いた。その手帳にはジョーイの絵が描かれていたが、大尉は戦死したという通知も同封されていた。アルバートはいてもたってもいられなくなり、まだ徴兵年齢に達していないにもかかわらず入隊し、最前線のフランスへと向かう。
 一方、フランス軍に取られてしまっていた。フランス軍はこの戦で得た馬に荷物を引かせようとするがほとんどの馬は馬具をつけられるのを嫌がり、その場で処刑されてしまった。ジョーイと共になった馬も馬具を嫌がり殺されそうになるが、ジョーイが馬具を自らつけたため彼も真似をし、処刑を免れた。
 しかし重い戦車をひかせていたため、どんどん馬が足を壊しては殺されていった。馬を消耗品のように扱う将校に嫌気をさした獣医はジョーイとトップソーンを逃がしてしまう。しかし足を壊したトップソーンは途中で息絶え、ジョーイ1人になってしまう。
 一人さまよっていたジョーイをドイツ軍が見つけた。そのドイツ軍にはまだ幼い兄弟がいた。馬の扱いがうまい兄は基地に残され、弟はジョーイと一緒に最前線に行くことになる。弟を最前線に送りたくない兄は、弟を連れジョーイと共に軍から脱走する。郊外の風車小屋で寝ていたところをドイツ軍に発見され、兄弟は射殺されてしまう。
 翌朝、少女が風車小屋にやってくると、弱ったジョーイを見つけた。両親を失い祖父と暮らしていた少女・エミリー(セリーヌ・バッケンズ)はとても喜ぶが、祖父(ニエル・アレストリュプ)はエミリーがジョーイに乗ることを反対した。しかしエミリーの誕生日に倉庫にしまってあった鞍をジョーイにつけエミリーを乗せた。丘の上を往復するという条件で。ところが丘の上に行ったままエミリーが帰ってこない。心配した祖父が駆けつけると、丘の向こうにはドイツ軍がおり、ジョーイを徴収されてしまった。命ばかりは取られなかったエミリーと祖父だが、ジョーイだけでなく食料なども奪われてしまう。そして再びジョーイは前線へと送られてしまう。
 ジョーイは最前線で戦車の砲弾の音に怯え逃げ出してしまう。一目散に走るジョーイだがその足を有刺鉄線が食い止める。有刺鉄線が体中に巻き付き、苦しそうな声を出すジョーイ。そんなジョーイを助けようとイギリス軍の兵士とドイツ軍の兵士が出てきた。一歩間違えば相手に殺されるかも知れない問い緊張に包まれた2人だったが、彼らの目的はジョーイを助けること。2人は1本1本丁寧に有刺鉄線を取り除く。最後にこの馬をどちらの軍がもらうかコインで決めることに。無事にジョーイはイギリス軍に引き取られることに。
 ところが傷から菌が感染していた。医者も薬も兵士の手当で手が足りない。軍馬の治療などしている余裕はない。軍医はこの馬を殺すように言う。しかし前線から戻ってきた奇跡の馬であり、前線でいつ死ぬかもわからない兵士たちの中で希望を象徴する存在となっていた。傷ついた兵士からもこの馬を助けて欲しいと言う声があり軍医と対立する。その騒ぎを聞きつけたのはアルバートだった。アルバートはドイツ軍の毒ガスで目を負傷しておりジョーイを見ることができなかったが、目の前にいるのはジョーイだと確信したアルバートもこの馬を助けてくれるように懇願する。みんなの熱意に負けた軍医はジョーイを治療する。
 戦争も終わりアルバートもイギリスに戻れることになる。しかし軍馬はオークションにかけられることに。アルバートや仲間たちはオークションの軍資金としてカンパをアルバートに渡していたが、その額を上回る額でジョーイが落札されてしまった。落札したのはエミリーの祖父だった。アルバートはジョーイにお別れをいい、祖父からジョーイがいろんな人々と出会い別れを繰り返してきたことを聞かされる。
 アルバートがジョーイの最初の持ち主で友であることを知った祖父は、アルバートにジョーイを帰すことにする。きっとエミリーもそれを望むと言い残して。



●感想、思ったこと(ネタバレあり)
 他の方のレビュー記事を読んでいるとストーリーが出来過ぎてリアリティがない。突っ込みどころが多くて感動する暇がないなんて書かれていました。まぁ冷静に考えるとそうなんですけど、それを感じさせなかったのが音楽と映像美。特にラストの夕焼けは良かったですね。人間のエゴではじめた戦争。馬だけでなく市民を苦しめた人間たちの戦争。いろんな人生を翻弄させてしまう戦争。ラストで救われた気がします。
 特に敵兵同士がジョーイをめぐって休戦するシーン。戦争映画では珍しくないシーンですよね。クリスマスの夜にお互いに歌を歌って休戦するシーンなんかも良くありますし。でもこう言うシーンっていつもジーンと来てしまいます。
 ところでジョーイもトップソーンもかっこいい!絵になるんですよね~。ただ何というかあまり身近にいない動物だからか、なかなか見ている人が感情移入しにくいような気がします。犬を題材にした映画、例えば何らかの理由で飼い主と離れてしまうが飼い主との絆はいつまでも続いているよ~的な映画だったり、仲の良かった犬が死んでしまう映画とか、すぐに感情移入して涙出ちゃうんですけど、なかなか馬の映画では感情移入しにくい。犬はペット=家族なのに対して、馬は人間にとってどちらかというと自動車に近い存在なのだからなのでしょうか。
 難しい題材ですが、スティーヴン・スピルバーグと言えども、映像美と音楽に助けられたかなと言う、作品。ちょっとオマケですが見て良かった度は5点で。




観て良かった度:●●●●● 5点 最低1点、最高5点










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